科学教育といいましても、特に学校教育現場のいわゆる「理科」と呼ばれる分野についてなんですけど、これが学校での学習や受験の話だけにとどまらないってことなんです。21世紀に入って、日本人のノーベル賞授賞ラッシュが続き、「日本ってやっぱりすごいんだ」という素直な感想なり印象を持たれる方は多いと思います。ところが、何人かの受賞者がインタビューなどで、今のような研究環境では今後は厳しい状況に陥ってしまう…と科学教育の将来を危惧する声を上げる方が少なくありません。いや、それは偉い先生方が関わる大学や企業とかの専門研究機関レベルの話であって、直接自分らの子どもたちとは関係しないのでは、と思われるかもしれません。もちろん、直接的には、予算をはじめとする研究環境のことを言っているのですが、子どものころからの教育環境や手法にまで言及している方は少なくありません。やっぱり、このような現状では今後は厳しくなるに違いないのです。どのような現状かといいますと、様々な機関で実施されているアンケート(意識調査)では、日本の子どもたちが他の先進国に比して、科学が将来に役に立つとか、自分自身がそれに貢献できると信じるとか、そういった積極的(ポジティブ)な回答をするものが、極端に少なく、あらゆる質問事項に対して先進国で断トツ最下位なのです。これは、どう考えても、国家社会としての教育の指針なり、直接教育に関与する学校教育機関の問題だろうと思われるのです。教育政策のことを言われてもちょっと…と思われるかもしれませんが、もっと身近でわかりやすい例を挙げますと… 例えば、落ち葉を集めて燃やして焼いもをして食べたりとか、学校で動物を飼育、作物を育てる習慣が極端に少なくなっていることとも関係がありそうなんです。こういった現状が、どんな風に科学教育の問題と関わっていくのか、その辺について、次の機会にもう少し考えてみたいと思います。